How to use
ドロップノートのつくり方・よみ方
三つの段階
ドロップノートのワークには、
うつすこと、よむこと、そして気づくこと
Reflection, Reading, and Realization
という三つの段階があります。


❶うつすこと(Reflection)——「私」をほどく

悩みの多くは、自分のなかにある思い込みや固定観念に縛られることで生まれます。そのため、根底にあるそれらをほどかない限り、どれだけ必死に考えたり、外に答えを求めても、思考は同じところを巡り続けてしまいます。
時代や環境、人間関係、そして自分自身。すべては日々変わっていきます。かつては支えになっていた観念が、その変化に対応できなくなったとき、それは悩みとなって表れてくるのです。
ドロップノートでは、思い浮かんだことをドロップに書き出すことで、既存の思考をいったんほどいていきます。この「ほどく」というプロセスが、ワークの核となる姿勢です。
「私」だと思い込んでいたもの ——役割、立場、期待、イメージ—— それらをひとつずつほどいていくことで、抑圧されていた声が、少しずつ聞こえ始めてくるのです。


❷よむこと(Reading)—— 内なる声を受けとる

ひとつのドロップに書けることは限られています。けれども、それをどうよむかによって、解釈の余地は無限に広がっていきます。ドロップに書き出された思考や感情の断片には、その人ならではの癖や特性がにじみ出るため、たとえ同じ言葉であっても、隣り合う他のドロップとの関係性によって、その印象はまったく異なって見えてきます。
ドロップノートをよむときは、ドロップ同士の配置やつながり、それを語る声色、そこから伝わってくる感情などに耳を澄ませます。そうした気配に目を向けることで、普段は表にあらわれない無意識の声や、内側にひそんでいる感覚との対話が始まります。
そして、リーディングのプロセスを経て、一枚のノートは、その人の人生の物語の1ページをうつしだしていきます。そこには、気づきや変容の予兆が宿っているのです。


❸気づくこと(Realizaiton)—— 思い出すことは気づくこと

ワークの中で生まれる気づきの多くは、まったく新しい発見というよりも、何かを思い出すことから始まります。ここでいう「思い出す」とは、単なる記憶の回復ではなく、自分の内側に深く眠っていた原点や源泉に、再び触れるような感覚を指します。それは、“自分がすでに知ってたこと”に気づいていく作業なのです。
ノートに思考や感情の断片を書き出し、それらをよみ直すことで、分断されていた経験や思考が、ひとつの物語へと統合されていきます。それは、「新しい自分をつくる」のではなく、「すでにあった自分に気づく」プロセスとも言えるでしょう。忘れていた自分に出会い直すことで生まれた気づきは、その人自身の世界観に根ざしたメッセージとなり、これからの行動や選択を導く、次なる物語の起点となっていきます。
How to use
ドロップノートのつくり方
<用意するもの>
ノート:
土台となる一枚の紙。手持ちのノートでもかまいません。
ドロップ:
小さく切った紙のかけら。形や大きさは自由です。
ストーン:
小石や丸めた紙など、ノートの上で目印になるものを3つ用意します。
ペン:
ドロップに書き込むための筆記用具。
テープのり:
最後にドロップをノートに貼りつけるときに使います。
<基本の流れ>
ステップ① ドロップをかく
十分間で、思い浮かんだことをドロップに書き出します。テーマや意味をあらかじめ決めずに、ただ浮かんでくるままに紙にうつしてください。言葉だけでなく、絵や記号などをかいても構いません。

ステップ② ドロップをならべる
書き出したドロップを、ノートの上に自由に並べていきます。そして、直感的に「気になる」と感じたドロップのそばに、目印としてストーンを置きます。ストーンは1〜3個のなかで、好きな数を置いてください。

ステップ③ ノートをよむ
ノート全体を眺めながら、そこから受け取った印象や感情を話していきます。うまく言語化することが目的ではなく、声にしたときの感覚に意識を向けることが大切です。

*この①〜③の流れを、3回ほど繰り返します。
*最後に、ドロップをノートに貼り付けて仕上げます。
How to read
ドロップノートのよみ方
ドロップノートは、かくことだけでなく、それをよむこと、リーディングにも重きをおいています。書き出された言葉や配置を手がかりにしながら、その人自身の持っている特性や世界観、そしてその奥にひそむメッセージを読み解いていきます。
<リーディングの流れ>
次の問いを手がかりに、リーディングを進めていきます。

・ノートを書いていたとき、どんなことを考えたり感じていましたか?

・ストーンを置いたドロップから、どんな印象や感情が浮かんできますか?

・ノートを眺めるなかで、何か思い出されることはありますか?

<リーディングのポイント>
◼︎ 直感的にストーンを置く

リーディングを始める前に、ノートを眺めて「なんだか気になる」と感じたドロップのそばに、目印としてストーンを1〜3個、好きな数を置きます。このときに大切なのは、あまり深く考えすぎず、直感に従って手を動かすことです。
ドロップだけでなく、ストーンも合わせて置くことで、ノートのなかに重心が生まれ、ノートをよみ始めるときのきっかけになります。


◼︎ 内容ではなく声色をきく

話の内容に意識を向けすぎると、つい助言や解決策を考えてしまい、「声」そのものから気が逸れてしまいます。そのため、ドロップノートのリーディングでは、話す内容だけではなく、その声色に耳を澄ませることを重視しています。気持ちよさや不快感、喜びや怒りなど、その声に宿る感情の機微に意識を向けていきます。


◼︎ 反応はするけど判断はしない

リーディングの基本は、感じたことに素直に反応することにあります。ただし、それを「良い/悪い」とすぐに判断しないようにしましょう。これは、自分のノートをよむときも、他者のノートをよむときも同じです。反射的な判断から入ってしまうと、その奥にある「声」を聴くことが難しくなってしまいます。


◼︎ 一人でリーディングをする場合

一人で取り組むときは、<リーディングの流れ>に書かれた問いをガイドにして、思ったことを文章に書き出していきましょう。これは誰かに見せるためのものではないので、言葉の正しさなどは気にせず、思いつくままに綴ってかまいません。
また、書いた文章を声に出して読んでみることもおすすめです。声にしたときに感じる違和感や引っかかりが、リーディングにおいて大切な手がかりとなることがあります。